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 (2010.03.13 しまね海洋館アクアスにて撮影)

こういうペンギンを見たことはないでしょうか。
エンペラーペンギンとキングペンギン(=Aptenodytes属)にはごくごく普通にみられる光景です。

「何故、こんなことをするの?」
という質問に対して、テレビで
「氷のあるところに住んでいるので、冷たさから足を守るために行なっています」
という解説を見たことがありますが、ちょっと待てい!と。

上の画像、思い切りひなたのコンクリですけど(この日の最高気温は13度くらいだったと思います)。
ていうかキングの主な生息地って南極じゃなくて
フォークランド諸島とかオークランド諸島であって、南極半島にすらかすってないんですけど。
氷どころか草むらなんですけど。
 参考:サウスジョージア諸島のキングペンギンのコロニー
エンペラーはエンペラーで、卵を抱いてる真冬にあんな体勢したら卵潰れるし
本当に冷たいのならエンペラーと同じく南極大陸に生息するアデリーだって冷たいはずで、
ヤツらがこのかかと立ちをやらない理由を教えていただけますか?

…と、自分からすれば突っ込みどころは絶えません。
自分は「冷たさから身を守る説」は否定しています。
では、自分の説はというと「休憩してる説」です。


普段ペンギンの足首のように見える部分、あれが人間で言うところのかかとの骨で
「跗蹠骨(ふしょこつ)」といいます。実際にかかと立ちをしているわけですね。
ふしょこつ

また、ペンギンの尻尾にも骨があり(鳥ですからね)、
かかと立ちはそこと跗蹠骨の三つを支点にして立っていることになります。
人間で言うと体育座りのような姿勢とでも言えるでしょうか。
普通に立っているよりかは幾分か楽なはずです。
が、このかかと立ちをAptenodytes属しかやらない理由は謎です。
身長に対する体重比が他の種に比べてだいぶ大きい(=体が重たい)からか?
とか、巣を持たない種だからか? と考えてはいます。

■ ■ ■

補足:
Q.で、実際冷たくないの?

A.
ペンギン、あるいはツルといった寒冷地の水辺に生息する鳥は
「ワンダーネット」と呼ばれる優れた熱交換システムを有しています。
これは、冷たくなった血液を静脈に乗せて体の中心部まで運び、
温かい血を動脈に乗せて再び体へ巡らせているシステム。
特にペンギンは全身を隙間なく硬い羽毛で覆われ、分厚い皮下脂肪で体をガードしているので
寒冷地の水の中に入ろうが平気! 凍傷どころかしもやけにすらなりません。
 (※逆に、温暖な地域に生息するフンボルトペンギンは熱を逃がすため皮膚の露出部分が多い)

■ ■ ■

余談:
ペンギンの脚は短いように見えますが、実は見えないところにちゃんと膝があります。
私たちがペンギンの格好を真似しようと思ったら、
1.膝を90度に曲げてガニ股になりましょう。
2.足は爪先立ちです。
3.背筋をピンと伸ばしましょう。
…だいぶ苦しいですね! あんなんでずっと立ってるペンギンすごい!